背中、背中からね

震度５の地震に遭遇したのは、なでなでワンコCherryちゃんの散歩中だった。
Cherryちゃんは私が行くと大喜びで、しかしなぜか背中をこちらに向けてまるめて、ナナメ下からわたしを見ながらにじり寄って来る変わったワンコ。
「なでてなでて、あ、でも背中からね。背中背中ー」
背中をなでるとじんわりと体勢を変える。わたしの手がCherryちゃんの脇の下を通ってお腹の上のあたりにくるようにコントロールしているらしい。気持ちいいのか、何かをしゃぶっているように口をちゃぷちゃぷするのがかわいい。調子に乗ってお腹の下の方をなでると「キャンッ！」といって嫌がるので苦労するのだが。
その日も、ひとしきりなでなでした後でお散歩へ出発した。
田んぼが周りに多い住宅街の道を土手に向かってのんきに歩いていたら、アスファルトが土手の方から波を打って押し寄せて来た！横の水路の手摺がガタガタいうのでＣちゃんも「オッ？」と身構える。わたしは思わずＣちゃんをオマタにはさんで座り込んだ。
波に揺られること数秒、海の上にいるみたいだったよー。
Cherryちゃんはというと、ちょうどわたしの手が背中にあたっていたのでなでなでと勘違い？半身で寝っころがってお口をちゃぷちゃぷしていた。平和な子である。おかげで恐さがふっ飛んだ。